知らないと失敗する!中小企業のAI導入時の5つの問題点

AIが普及し、さまざまな企業が業務効率化や精度向上のためにAIの導入を試みています。

しかし、現実にはプロジェクトが思うように進まなかったり、予算を超えるコストがかかってしまったりと、予期せぬ事態に直面している方も多いのではないでしょうか?

この記事では中小企業の方向けに、AI導入時に問題となりやすいポイントについて紹介させていただきます。

問題点を先に知っておけば、対策ができますね!

中小企業のAI導入時の問題点

1.AIを社内の課題解決に活用するイメージがわかない

まずはじめに直面する問題として、具体的なAI活用のイメージがわいていないことが挙げられます。現場でAIを活用するイメージがわかない原因としては「そもそもAIとは何なのか」「AIで何ができるのか」といった知識が不足している可能性があります

AIは非常に大きな概念であり、日々成長している分野でもあるため、全てを理解することは専門家でも困難です。しかし、大きな概念だからこそ、順を追って少しずつAIについて理解を深める必要があります。

その入り口としては、AIには機械学習や強化学習、深層学習など、さまざまな学習の種類がありそれぞれ異なった特徴を持っています。また、ひとくちにAIと言っても、音声認識や画像認識、自然言語処理、データ分析、チャットボット、翻訳など数えきれないほどの種類の技術があります。AI開発の目的が変われば、もちろん学習の方法や使うAI技術も変わります。

ざっくりとした知識でも良いので、AIについて少しでも理解した状態で活用事例などを調べてみると「これならうちの会社でもできるかな?」「こんなものがあったら便利だけどAIで解決できるかな?」など新たな疑問が浮かび、AI導入のイメージがより具体的なものになっていきます

2.AIプロジェクトの進め方が正しいか不明

AIについてある程度知識がある場合でも、プロジェクトとなると思うように進まないことが多々あります。それは、AIプロジェクトの進め方を知らないことが原因として考えられます。

家を建てるためには、現場調査から始まり、地盤を整え、基礎、配管、壁、屋根、内装、外装、外構工事などが必要です。例えば、これを途中の工程である壁から作り始めてしまっては家は建たないですし、修正するためには作った壁を壊してまた一から工事を始めるという工程が必要になってしまいます。

AIプロジェクトも同様で、全体を見通してしっかりと計画・準備を行い、開発を進める必要があります。よくあるAIプロジェクトの失敗例としては、一番はじめの計画に当たる「要件定義」をしっかりと行わないまま開発に着手し、途中で不足している内容があることに気づいたり、修正するために予想外の時間やコストがかかってしまう事例があります。AIプロジェクトは「やってみないとわからない」という部分があるのも事実ですが、予想外のことが起こることを常に予想してプロジェクトを進めなければなりません

急がば回れ!AIプロジェクトを成功へ導く5つのステップ

▲AIプロジェクトの進め方については、上記の記事を参考にしてください。

3.費用対効果が悪い

そして、避けては通れない問題としてお金に関するものがあります。

どのようなAIを開発するかや納期、受注業者などにより価格は変動しますが、一般的な業務改善を行うAI開発には800万円〜2,000万円ほどかかります

莫大な予算を使ってAI導入を進めている大手企業の事例はたくさんあります。大手企業は予算を十分に確保できたり、開発を進めるにあたってデータをたくさん持っていること、そもそも大きなコストがかかっているためAI導入によりコストが10%削減できた場合でも、中小企業に比べて大きなコスト削減につながります。

しかし、中小企業の場合は予算が高すぎたり費用対効果がいまいちといった理由でAI開発に踏み切れない場合が多いのではないでしょうか?中小企業で効果的にAIを導入するためには、AI開発の目的をしっかりと考え、本当に必要な機能を厳選してコストを抑える必要があります

4.AI人材を社内に十分配置できない

AI企業に開発を依頼をする場合でも、社内にAIに精通した人材がいることは重要です。AI人材とは、実際にAI開発を行うAIエンジニアやデータサイエンティストだけではなく、AIのメリットや効果を把握していて人に伝えることができる人材や、AIの技術的な話を理解できておりエンジニアと会話ができる人材も含まれます。

中小企業がAIプロジェクトを成功に導くためには、社内のAI知識向上を測る人材や、他社(AI開発企業)のエンジニアと会話ができる人材が必要不可欠です。社内にAIに詳しい人材がいないと、AI開発企業と円滑にコミュニケーションを取ることが難しいです。

中小企業のAI人材に必要な知識として「Di-Lite(ディーライト)」があります。これは、デジタルリテラシー協議会が定義する、全てのビジネスパーソンが持つべきデジタル時代の共通リテラシーです。

Di-Liteには3つの検定が含まれますが、エンジニアと会話ができることを目指す場合は各検定に合格することをひとつの目標にすると良いと思います。AIについての知識を身に付けたい場合は、これらの試験に必要な知識はどのようなものがあるか、知ることから始めましょう。

▼Di-Liteについての記事はこちら

今を生きるビジネスパーソンの新常識!「Di-Lite」って知ってる?

5.運用コストや修正コストばかりかかる

AI開発にコストがかかることは多くの人がご存知かと思いますが、開発後のAIの運用や修正にもコストがかかることは見落とされがちです。

再び住宅で例をあげると、住宅も建ててから維持費がかかったり、メンテナンスに費用がかかりますよね?それと同様に、AIも最適な状態で使い続けるには少なからずコストがかかります。

AI開発企業からすると運用にコストがかかることは当然のことであるため、発注の直前で運用コストについて気づいたり、発注後に説明されて予想外の出費になる場合があります。そして、結果的に予算オーバーしてしまったり、なんとか予算内に収めようとして不完全なAIが出来上がってしまうこともあります

運用コストとは、AIの精度向上や最適化を目的に、より多くのデータを収集することや再学習させること、AIの精度を大きく左右するパラメーターを調整すること、アルゴリズムを修正することなどが挙げられます

その他にも、誰でもAIを使えるようにするためには専用のアプリやwebを制作する必要があります。それに伴いデザイン費等も発生します。また、画像認識をするためにはカメラにRaspberry PiなどのIoTデバイスを接続させる必要があり、それらの実装にはもちろんコストがかかってきます。

運用に必要なことは挙げたらキリがありませんが、AI開発をする段階の次には、そのAIを実際に現場レベルで活用できる状態にする段階や、運用する段階があると認識しなければなりません。AI開発だけに目を向けていると、後から思わぬ工程やコストがかかることになります。

まとめ

中小企業のAI導入における問題点を5つ挙げさせていただきました。

問題点ばかりを挙げてしまいましたが、AIを正しく理解し、使いこなすことができれば業務の効率化やコスト削減につながることは間違いありません。そのためには、まずはAIができることやメリット/デメリット、さらにはプロジェクトの進め方などについて「正しく理解している」ということが重要です。

AIプロジェクトは、全体的なプランやAIの具体的な技術のことなどを知らずに進めても成功しません。なんとか形になったとしても、大きな回り道をする可能性が高いです。

AIを正しく理解して業務で活用し、課題を解決したり、コスト削減、売り上げアップに繋げましょう!