急がば回れ!AIプロジェクトを成功へ導く5つのステップ

AIが普及し、多くの企業がAIをうまく活用して業務効率化やコスト削減につなげたいと考えているのではないでしょうか?

しかし、プロジェクトを立ち上げても、そもそものAIプロジェクトの進め方を知らないと「こんなはずじゃなかった」という結果になりかねません。

この記事では中小企業の方向けに、AIプロジェクトを行う際のステップを5つに分けて紹介します。

AIプロジェクトの5つのステップ

1.組織・体制作り

社内でAIを活用した業務効率化やコスト削減を図る場合、まずはじめに行うべきことはプロジェクトメンバーを決めることです。

下の画像は、中小企業(画像中では自社)でAIの導入を検討しており、AI開発自体はAI企業(画像中では外注)に外注することを想定しています。

プロジェクトによってメンバー構成や人数の規模は異なりますが、社内では少なくともプロジェクトマネージャーと担当者が必要です。プロジェクトマネージャーの「ビジネス」とは、AIのメリットや効果を把握していて人に伝えることができる人材、担当者の「プランナー」とは、AIの技術的な話を理解できておりエンジニアと会話ができる人材を指します。

プロジェクトマネージャーや担当者の人材の育成については「Di-Lite(ディーライト)」を参考にするとわかりやすいです

▼Di-Liteにてついてはこちらの記事をご参照ください。

今を生きるビジネスパーソンの新常識!「Di-Lite」って知ってる?

さらにAI導入後の運用などを考えた場合、社内にアシスタントレベルのエンジニアがいると、ちょっとした修正や調整がスムーズにできて効果的です。

2.事前検討

プロジェクトメンバーが決まったら、外注先のAI企業も含めて事前検討を行います。事前検討は双方の意見やイメージ、今後の方針について擦り合わせる場になります。事前検討をしっかりと行わずにAI開発をスタートしてしまうと、後々トラブルを招くことに繋がります。ここは早くプロジェクトを進めたい気持ちは抑えて、じっくりと時間をかけてプロジェクトメンバー全員で情報を共有しましょう。

まずはじめに、プロジェクトを進めるにあたり最も重要なのが「目的」になります。なぜこのプロジェクトをやるのか?売上アップ、コスト削減、新規顧客開拓など、目的によって開発すべきAIは変わってくるはずです。プロジェクトが始まってから目的がブレてしまうと、開発も思うようには進みません

目的を決めた後は要件定義です。これはAI開発の全体像を把握するためのものです。AIには音声認識や画像認識、データ分析など様々な種類がありますが「どんなAIを使うのか?」また「事業のどの部分にAIを適用させるのか?」AIの種類や適用範囲を決めます。全体像が決まれば、エンジニアは具体的にどんなアルゴリズムを使うのか?どんなデータを使うか?といったより細かい要件定義を作成します。目的のAI開発を達成する方法はたくさんあるため、ここまでで話し合ってきた内容を踏まえてどのような方法で進めて行くかを検討します。

その後、AIの精度についての目標を設定します。精度が100%の完璧なAIはありえないため、どこまでの精度を求めるか?ゴールを決めます。この目標が無いと、常に完璧を求めてしまい終わりがないプロジェクトになってしまいます。

また、実現可否についても検討する必要があります。どこまでの作業をAIが行い、どこまでの作業を人間が行うか、作業を分担する必要があります。例えば検品作業では、合格品・どちらかわからない品・不合格品の3種類があった場合に、はじめにAIがどちらかわからない品と不合格品を弾き、最終的には人間の目で判断するといった分担があります。これを完全にAIだけで行おうとした場合、精度をかなり上げる必要がありコストがかかります。実用性やコストのバランスを考え、実現可能かどうかを判断します。また、高度なAIを開発しなくてももっと単純な仕組みで目的を達成できる場合もあります。AIに固執せず柔軟な頭で考えることで、新たな道が見えてくるかもしれません。

そして、予算についてです。精度の高いAIの方がもちろん便利だと思いますが、その分コストもかかってきます。実現したいことと費用のバランスを考えて予算を組みましょう。また、予算は納期や、アノテーション(※)という作業を依頼側の中小企業か、受託側のAI企業が行うかでも変わってきます。

※アノテーション:「特定のデータに情報タグ(メタデータ)を付加する」こと。機械学習の代表的な学習法である「教師あり学習」のモデル開発には欠かせないプロセス。

3.PoC (実証実験)

事前検討がまとまってきたら、いよいよAI開発に取り掛かります。AI開発はいきなり本番のAIを作るのではなくて、はじめにPoC(実証実験)を行います

AIは作ってみたらやっぱりこれが必要だった、これは必要なかった、ということがよくあります。そのため、まずは最小限の機能を作って目的の効果が得られるかを検討します。PoCを行うことでイメージが鮮明になり、修正が必要な部分に早めに気づいて対処することができます。必要なものと不必要なものを見極めることで、結果的に予算が抑えられます

逆にPoCをやらずにAI開発に取りかかると、そもそも実現不可能なAIの開発をスタートさせてしまったり、データ量の不足からイメージした精度のAIができないという事態になりかねません。このような危険をPoCを通して事前に予知しましょう。

弊社ではこのPoCを学生エンジニア集団「AI-Tech-Lab」と協力して、10万円〜と安価に提供しています。詳細は以下のサイトからご確認をお願いいたします。

4.評価・検証

AI開発を行ったら、評価・検証を行います。AIの評価には様々な内容や方法がありますが、精度や効果、使い勝手、データなどについて評価を行います。

精度は目標としていたAIの精度を達成できたか?この精度で業務に活用できるか?などです。効果については「◯%のコスト削減に繋がる」「作業時間が◯時間短縮される」「サイトのPV数が◯%増えた」「売り上げが◯%増えた」など、AI開発の目的に応じて評価すべき数値は変わってきます。

また、使い勝手もとても重要な評価ポイントです。プロジェクトに関わる人やAIを使う人にとってデータが見やすいものであるかどうか、データの入力が簡単かどうか、画像認識でカメラを使う場合などは物理的な使い勝手なども含まれます。使い勝手が悪いと、せっかく目的を達成できるAIを開発できても現場で使われなかったり、AIを使うこと自体にコストがかかってしまうということになります

そして、データについてはデータ量やデータの処理が適切であったか評価を行います。AI開発には非常に多くのデータが必要であり、これによりAI開発を諦めた中小企業の方もいるのではないでしょうか?データを増やす方法はたくさんあるので、データ量不足で困っている方は、弊社の研修を受講してデータの増やし方を学んだり、一緒に良い方法はないか検討しましょう

▼AI研修についての詳細はこちら

5.導入・運用

「3. PoC(実証実験)」と「4. 評価・検証」のサイクルを回したら、いよいよ本番開発、AIの導入です。AIを導入するためにはアプリやwebの管理画面などの開発、カメラなどのIoTデバイスの設置を行い現場で使えるようにする必要があります

また、運用段階では継続的なデータ収集やAIの再学習の仕組みを構築しておく必要があります。例えば検品作業の場合、AIが日々行っている認識したり分類する業務の過程でAIが再学習するためのデータが溜まっていきます。溜まったデータはAIの精度をさらに上げるために活用できます。この導入後の再学習の仕組みについては、GoogleやAmazonなどが提供しているシステムを活用して自動化することも可能です。

AIを開発して導入したら終わりではなく、うまく運用することでより効果的にAIを活用することができます

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

AIプロジェクトを成功させるためには、実際の開発に取りかかる前の事前検討やPoCの段階が非常に重要になってきます。この段階はAIについての知識やイメージがないと、AI企業とそもそも話が噛み合わないということがあります。事前検討でしっかりと話し合いをしてプロジェクトの全体像を把握するためには、依頼側も事前にAIについての知識をつけておく必要がありますね。

AIというテクノロジーをうまく使えるかどうかは、AI開発の技術はもちろんですが、結局は根底にある人と人とのコミュニケーションが重要です。正しい知識を持ち、しっかりと相手と情報共有することで着実にAIプロジェクトを進めましょう!