膨大な業務をAIに代替!人事部の3つの課題とAI活用事例4選

企業を作り上げている「人」に関わる業務を行っている人事部。

その仕事は人材採用から育成、評価、労務など多岐に渡ります。

今回の記事では、人事部が抱える3つの課題と4つのAI活用事例を紹介します。

人事部の3つの課題

人材の評価基準が曖昧

採用面接や社内の人材評価など、人事部では人を評価するという業務があります。しかし、この評価基準は明確なものがなく主観的で曖昧な評価に繋がりやすいです。

採用面接では入職希望者と何度も面接を行う必要があり、一貫した評価を行おうとすると特定の担当者が全ての面接に参加する必要があり、大きな負担がかかっています。

また、社員が人事評価について不満を感じる要因は「評価の基準が不明確」が圧倒的多数であるという調査結果もあります。(参考:株式会社識学「人事評価の“モヤモヤ”に関する調査」人が人を評価するため全員が納得・満足できる人事評価を実現するのはなかなか難しいですが、評価の透明性や公平性は高めていきたいところです。

社内の人材育成が進まない

人材を採用したら、企業の戦力になるように育成しなければなりません。さらには、より人材を活かすためには個々の特性を掴み、長所を伸ばすような育成ができると企業にとっても社員にとっても良い影響が生まれます。

人材育成が進まない原因としては、人材育成の目的が明確でないことや、指導する側の中堅層の社員が少ないこと、人材育成の環境が整っていないことなどが挙げられます。人材が育たないと後継者ができずに企業が生き延びることは難しくなってしまいます。

教育体制を整えて社内の未活用人材を減らし、一人一人の能力を最大限に引き出すことができる人材育成を目指したいですね。

人手不足

最後は、人事部自体が人手不足となっている場合も挙げられます。人手不足がゆえに上述したような課題解決に向けた取り組みができないことも多々あると思います。

人事の業務は幅広いうえに、中小企業などでは総務やその他の部署と兼務している場合も少なくありません。また、社員の給与計算や勤怠管理などの業務は非常に煩雑ですが、ミスが許されない業務でもあます。

人事の仕事は全て「人」に関わるものであり、労働環境の整備など組織の基盤となる部分も含まれています。社員一人一人に目を配り仕事への満足度を高めることは、組織の安定した人材確保にも繋がってきます。

特に中小企業では事業推進のための人材確保に追われ、人事部の体制を整えることを後回しにしてしまいがちですが、どこかのタイミングで人手を増やしたり、人事部の業務自体を効率化する必要があります。

人事部でのAI活用事例4選

AI面接|株式会社ニューズベース

企業が開催するセミナーや様々なイベントの企画・運営などを手掛ける株式会社ニューズベースは、新卒採用の一次面接での社員の負担軽減や評価基準を一定にすることを目的にAIを導入しました。

マネージャーとしての仕事が全くできなくなってしまうことも現場としては痛手だった。

AI面接ツールSHaiNを本格導入するために検証を行った結果、AIの評価の9割近くが人間の評価と合致し、適性検査と絡めれば、人間による一次面接はしなくても問題ないということが確認できたそうです。

さらに、AI面接にすることで学生が社員と接する時間が短くなり「この会社に入りたい」と思う動機付けが弱くなってしまうことを懸念し、採点などは一切行わない現場の話を聞いてもらうための座談会を設けました。AI導入や座談会の開催といった新しい仕組みにより、面接担当者の負担を減らすと同時に学生への動機づけも担保できたとのことです。

AI動画面接|ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、2020年5月末から新卒採用選考における動画面接にAIシステムを導入しました。

AI動画面接システムは、新卒採用の一次選考をAIによって合否判定するものです。応募者に事前に設定された質問に対する回答を動画で提出してもらい、その動画データからAI動画解析システムで評価を自動算出します。

解析は過去の動画データとベテランの採用担当者による評価を動画解析モデルに学習させて、過去の合格者に近いと判断した動画を合格の対象として選出しています。さらに、AIで不合格の判定が出たら、人事担当者が実際に動画を確認して面接の合否を最終判断することで選考の正確性を担保しています。

AIの精度向上のために約3カ月かけてPoC(※)を行い、AI vs 人間の判断で評価の比較検証、改善のサイクルを回しました。

(※)PoCとは本番開発の前に最小限の機能を作って目的の効果が得られるかを検討する、AI開発において欠かせないステップです。詳細は以下の記事を参考にしてください。

急がば回れ!AIプロジェクトを成功へ導く5つのステップ

その結果として、学生側は「時間とお金の負担が減る」、採用側は「時間と場所確保の負担が減る」という効果が得られたとのことです。

人材の評価・育成・人員配置|明治安田生命

明治安田生命では、人材の評価、育成、人員配置にAIを活用しようというプロジェクトが進められています。

限られた人材で高い成果を上げるために、ニーズの多様化に対応できる高度な専門性を持ったプロフェッショナル人財が求められています。全国に1200カ所の拠点を持つ同社では、毎年4月の人事異動で2000人から3000人が異動します。さらに、人事評価も年に一度行います。従来はこの膨大な作業を人事の人の手でやっていましたが、人手でやるには限界があるだけではなく業務が属人化するリスクもありますそこでAIを活用し、人の目が届かない部分までカバーできないかと考えたのです。

実証実験として、内勤営業職約1500人と本社スタッフ約1500人の合計約3000人の職員に任意で協力してもらいアンケートを実施しました。それをもとに個々人の行動特性を可視化し、成果との関係性を分析することで、「当社の各分野で活躍するための素養」を統計的に特定しました。この実証実験により、従来は人事担当者が定性的に把握していた行動特性を定量化することができ、各分野で求められる行動特性を確認できたとのことです。

「人材力の見える化」により、人材配置や採用の場面で情報を活用するだけではなく、オープンにすることで本人のキャリアを考える上でも重要な情報となります。

AIチャットボット|株式会社ベルパーク

スマートフォンのキャリアショップを全国に展開する株式会社ベルパークでは、社内の問い合わせ対応のためにAIチャットボットを導入しました。

店舗の社員と人事部の双方にアンケートを取り、問い合わせの多い勤怠、休暇申請、研修、福利厚生、名刺の発注方法などを中心にQ&Aを整備しました。また、人事部門はマニュアルや規定類の数が多く、その内容も多岐にわたるため、回答内容にはドキュメントのURL情報も入れて作成しました。

AIチャットボットの導入により、電話やメール、チャットなど既存の問い合わせツールからの人事部門への問い合わせは日平均で数件〜20件ほど減少したとのことです。さらには、社員が今まで質問できなかったことが気軽に聞けるようになったことで業務への理解が深まり、会社全体の生産性向上に繋がったとのことです。

まとめ

「人」に関わるあらゆる業務を行なっている人事部。人を適切に管理して組織を運営することは企業の成長に大きく関わります。

人事評価は社員がモヤモヤを感じやすいポイントでもあるため、AIの導入により効率的で公正な評価が浸透すると良いですね。

活用事例の中にも何度か「PoC(実証実験)」と言う言葉が出てきましたが、弊社ではこのPoC開発を低コストで行うサービスを展開しています

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