AIや機械学習が広く普及し、多くの企業が新しいテクノロジーを取り入れて業務改善やコスト削減を図っています。
これらの技術をうまく活用するためには、AIを開発する人材の技術向上だけではなく、それらを使う人材を育成することが非常に重要です。
どれだけ便利な道具を持っていても、使い方を知らないと宝の持ち腐れになってしまいますね。
もくじ
Di-Liteとは
「Di-Lite(ディーライト)」とは、デジタルリテラシー協議会が定義する、全てのビジネスパーソンが持つべきデジタル時代の共通リテラシーです。
デジタルリテラシー協議会は、情報処理推進機構(IPA)と日本ディープラーニング協会(JDLA)、データサイエンティスト協会(DSS)の3団体が「デジタルの専門家ではない一般のビジネスパーソンへのデジタルリテラシー普及」を目的に共同設立した団体であり、経済産業省がオブザーバーとなっています。
そして、Di-Liteを習得するための方法として、3団体がこれまで行なっていた検定や試験を活用することができます。
3つの検定について
ここからは、それぞれの検定について紹介していきます。
ITパスポート試験
まずは、情報処理推進機構(IPA)が提供しているITパスポート試験についてです。これは通称 iパスと呼ばれている国家資格です。ITパスポート試験は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?昨年度は約14万人が受験しており、その数は年々増加傾向にあるメジャーな試験です。
ITパスポート試験を通して、「ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識」があることを証明できます。
具体的な内容としては、コンピュータ(CPU、GPU、メモリなど)に関する知識をはじめ、IT(ネットワークやセキュリティなど)に関する知識、プロジェクトマネジメント(企画、要件定義など)の知識、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識など幅広い分野の総合的知識が問われます。
必要な勉強時間は約100〜150時間と言われており、1日2時間勉強すると仮定すると約2ヶ月ほど掛かる見込みです。
また、試験日については月に1~3回ほどの試験日が用意されており、会場ごとに3カ月先まで確認できます。比較的試験日は多く設けられていますが、試験日ごとに受験できる人数が定められているため注意が必要です。
項目 | 内容 |
---|---|
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 100問(小問形式) |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度 マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
試験時間 | 120分 |
試験頻度 | 月に1~3回程度 |
試験費用 | 5,700円(消費税込み) |
受験資格 | 制限なし |
受験環境 | CBT(Computer Based Testing)方式(*2) 受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、 マウスやキーボードを用いて解答します。 |
受験サイト | https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html |
G検定
続いて、日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供しているG検定(公式名:ジェネラリスト検定)についてです。
G検定は、ディープラーニングを活用したプロジェクトに携わるジェネラリスト(※)向けの検定であり、プロジェクトの検討・企画・推進に必要な知識が問われる民間の資格です。
(※)ジェネラリスト:適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有している人材
G検定は人工知能やディープラーニングなどの技術とビジネス活用の双方を理解し、橋渡しの役割ができる人材の育成を目的としており、AI活用を進めたい企業にとってG検定を所有している人材は必須と言えます。
試験の内容としては、AI(概要や歴史など)に関する知識や、機械学習(種類や具体的手法など)に関する知識、ディープラーニング(ニューラルネットワークの仕組みなど)に関する知識が問われます。
試験は年に3回(3月・7月・11月)行われており、オンラインで受験することができます。
項目 | 内容 |
---|---|
試験概要 | 知識問題(多肢選択式・220問程度) |
出題範囲 | シラバスより出題 |
試験時間 | 120分 |
試験頻度 | 年に3回(3月・7月・11月) |
受験環境 | オンライン実施(自宅受験) |
受験資格 | 制限なし |
受験費用 | 一般:13,200円(税込) 学生:5,500円(税込) ※再受験の方は受験日から2年以内の方は半額 (一般:6,600円、学生:2,750円)で受験することができます。 |
受験サイト | https://www.jdla-exam.org/d/ |
データサイエンティスト検定
最後に、データサイエンティスト協会(DSS)が提供しているデータサイエンティスト検定についてです。この検定は、2021年9月11日からスタートした新たな試験です。
これは発展中の分野であり、統計学者やデータアナリストと混同されがちです。従来のデータ分析では過去の分析しかできませんでしが、機械学習や統計学を活用すると未来を予測することができます。データアナリストに機械学習の知識をプラスして未来の予測まで含めて分析を行うのがデータサイエンティストです。
データサイエンティスト検定は、データサイエンティストとしての実務能力と知識を証明するための試験であり、何度としては初心者レベルの基本的な内容となっています。
具体的には、データサイエンスの概要(ビッグデータやデータ分析の種類など)に関する知識や、データサイエンスの技術(データの種類やばらつき、相関と因果性など)に関する知識、ビジネス(AI倫理、セキュリティなど)に関する知識が問われます。
初心者レベルの基本的な内容ではありますが、出題範囲がとても広いため、何も知識がない状態から始めると難易度が高い検定だと思われます。
項目 | 内容 |
---|---|
試験名 | データサイエンティスト検定 リテラシ―レベル |
受験資格 | 制限なし |
出題形式 | CBT四肢択一式90問90分 |
学習方法 | 公式テキスト 2021年8月頃出版予定 詳細はこちらをご確認ください |
試験頻度 | 年間2回(春、秋)の予定 |
会場 | 共通会場にて実施 各会場ごとのスケジュールは受験者マイページよりご確認ください |
申込方法 | インターネット受付のみ |
受験票 | 受験票の発送はありません。 予約完了時の確認メールにて試験日程・会場のご案内、 および注意事項を明記しておりますので、必ずご確認ください。 |
受験料 | ■一般 11,000円(10%消費税込金額) ■学生 5,500円(10%消費税込金額) |
受験サイト | https://cbt-s.com/examinee/examination/datascientist.html |
まとめ
Di-Liteについてご理解いただけたでしょうか?
これらの試験を通して、ITやAI、データサイエンスに関する知識にとどまらず、プロジェクトマネジメントや法律、倫理、セキュリティなど、ITを活用する上で前提となる幅広い知識をバランス良く習得することができます。
大学生や新入社員がITやAIの知識を身につけるためにこれらの試験の合格を目標に勉強することは非常に有効です。さらに、すでに実務経験を積んでいる人が体系的に学習し直すことでさらなるスキルアップに繋がったり、自分の知識がどのくらいあるのか客観的に知ることができます。
▼弊社でもこのDi-Liteに関する研修を行なっています。
メタバースでAI研修!?Horizon Workroomsの使い方や機能についてITの分野は非常に広いため、長年経験がある人でも全てを網羅している人は少ないです。自分の得意な分野の知識
を深めることも重要ですが、広く理解することで課題解決のためのバリエーションは増えそうですね。