政府も導入を推進しており、企業の成長戦略に欠かせない存在になりつつあるAI。
しかし、日本はAI後進国と言われ、世界に比べてAI導入が遅れている現状があります。
今回の記事では、日本におけるAI導入の現状と、それに対する国のAI・データサイエンス計画について紹介します。
もくじ
日本におけるAI導入の状況
冒頭で日本はAI後進国とお伝えしましたが、特に日本の企業の99.7%を占める中小企業では、予算を十分に取れる大企業とは違い、コストや人材不足などの問題からまだまだAI導入が進んでいない現状があります。
総務省の情報通信白書によると、日本におけるAIの導入状況は、中国・米国・欧州主要国を下回っています。
日本の企業がIoT・AI等のシステム・サービスを導入しない理由としては、下図の内容が挙げられ、主にAIに関する知識や人材の不足、コスト面の問題が挙げられます。
中小企業のAI導入状況についての調査結果
AI導入への意欲と現実の乖離
株式会社リアルインサイトが国内の中小企業506社を対象に行った調査によると、現在AIを導入している中小企業は5.5%、将来的に検討したいと回答した企業は全体の59%との結果になりました。(グラフ1)
それに対して、「AIの知識があるか」との質問では全体の59%がない(どちらでもない、あまりない、まったくない)という結果(グラフ2)になっており、AI導入への意欲はあるが知識が不足しているという現状がよくわかります。
AI導入にあたっての障害
「AI導入にあたっての障害は何か」との質問でも、「詳しい社員がいない」「技術的に疎い」「導入の仕方がわからない」などAIに関する知識不足が障害になってます。
また、総務省の調査結果同様、「導入コストが高そう」「費用対効果が見えない」などのコスト面での障害も挙げられました。(グラフ3)
コスト面について、「月のコストがどの位なら導入を検討するか」との質問では、約10万円/月が現場のリアルな声のようです。しかし、理想と現実は程遠く、どのようなAIを開発するかや納期、受注業者などにより価格は変動しますが、一般的な業務改善を行うAI開発には800万円〜2,000万円ほどかかると言われています。
やはり、総務省の調査同様、株式会社リアルインサイトが行った調査でも、AI導入における課題は以下の2点に大きくまとめられそうです。
日本のAI戦略
AI導入における課題に対して、国は戦略を立てたり、ガイドブックを作るなどして解決を試みています。
特に知識不足に関しては、内閣府が発行した「AI戦略2021」に未来への基盤作り、教育改革として以下の内容が明記されています。国は2025年までに全ての大学生・高専生が初級レベルの知識を身につけ、その半数の25万人を応用レベルに習熟させるとの目標を示しているのです。
▼AI戦略2021 一部抜粋
【高等学校】
全ての高等学校卒業生(約 100 万人卒/年)が、データサイエンス・AIの基礎となる理数素養や基本的情報知識を習得。また、人文学・社会科学系の知識、新たな社会の在り方や製品・サービスのデザイン等に向けた問題発見・解決学習を体験
【大学・高専・社会人】
文理を問わず、全ての大学・高専生(約 50 万人卒/年)が、課程にて初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得
また、経済産業省は、リソースに限りのある中小企業でも効果の見込めるAI導入ノウハウをガイドブックとして体系化して配布しています。(ガイドブックは公式サイトからダウンロードできます。)
AI導入ガイドブック概要によると、中小企業へのAI導入による経済的効果の見込みは2025年までに11兆円となり、人手不足解消や技術継承等、中小企業が抱える課題にもAIは有効との見方を示しています。
まとめ
日本におけるAI導入の現状と、課題について紹介しました。国の政策にもAIやデータサイエンスに関する知識の普及が組み込まれており、人材育成が求められています。
弊社では管理職や営業、マーケティングなど部署別に構成されたカリキュラムで効率的に現場で使えるAIの知識を学ぶことができます。研修の詳細は下記のサイトからご確認ください。
近い未来にはデジタルリテラシーやAI・データサイエンスに関する知識は社会人とって欠かせないものになります。なるべく早いうちから勉強を始めましょう!
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