新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けている飲食業界。以前から人手不足や食品ロスの課題はありましたが、感染拡大に伴いそれらの問題が加速したり、新たな課題が生まれています。
飲食店でAI活用というとピンとこない人もいるかもしれませんが、飲食店でAIが導入されている場面はすでにたくさんあります。
この記事では、現在の飲食業界における3つの課題と、飲食店でのAI活用事例を4つ紹介します。
もくじ
飲食業界の3つの課題
人手不足
まず第一に挙げられる課題は、人手不足です。多くの飲食店はアルバイトスタッフを雇って営業をしていますが、負担が大きいわりに低賃金であることも多く、離職率は高いです。また、感染拡大に伴いやむを得ずスタッフを解雇する飲食店も多く、結果的に人手が不足しているという現実があります。
感染拡大が落ち着いて客足が戻ってきたと思ったら再び緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されるなど、予測できない客数の増減があるので、人を雇うのも一苦労です。
食品ロス
食品には消費期限があるため、過剰に仕入れてしまい消費できずに、結果として廃棄することになるリスクがあります。また、飲食店によっては素早く料理を提供するために作り置きをしていることもあり、大量に作り置きをしてしまうと廃棄に繋がる可能性も高くなります。
食品ロスは飲食店だけに関わる問題ではなく、地球環境にも悪影響を与えたり、将来的な人口増加に伴って食糧不足が起こることが考えられます。
2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の中にも「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」というターゲットが設定されており、世界中で取り組むべき課題となっています。
コロナによる可動席数の減少に伴う売上低下
感染拡大により「密閉」「密集」「密接」の3密を避けた環境を提供することが求められています。それにより、席と席の間隔を広く取る必要があるため、飲食店としては今までより席数を減らすことになります。席数を減らすことは売上の低下に直結する問題であり、売上を維持するためにはより効率的に運営を行わなければなりません。
また、3密回避以外にもコロナによってスタッフの体調管理や手指消毒、定期的な清掃などの感染対策が求められており、業務が煩雑になりやすいです。コロナ対策も含めた飲食店のスマートな形を模索する必要があります。
飲食店でのAI活用事例4選
来店客数の予測
飲食店にとって、いつどのような商品がどのくらいのお客さんに売れるのか、どんな日に来店数が多いのか予測を立てることはとても重要です。しかし、これらの判断は今まで「ベテランの勘」に頼っていることが多く、なんとなく行なっていた分野とも言えます。
AIを活用して過去のデータから予測をしっかりと立てることで、人件費の削減や食品ロスの削減に繋がります。実際に、過去の売り上げやイベント情報、天気データなどのビッグデータから来客数や売上の予測ができる「AI-Hawk」や「EBI LAB」というAIサービスも提供されています。
▼具体的な導入事例は各AIサービスの公式サイトに綺麗にまとめられているので、参考にしてみてください。
セルフオーダーシステム
居酒屋や大手チェーン店でタッチパネルなどの専用端末によるセルフオーダーシステムはすでに普及していますが、全席にタッチパネルを導入には大きなコストもかかるため、小規模や個人経営の飲食店には導入しづらいです。
そこで、タッチパネルの代わりに各テーブルにQRコードを設置し、それをお客様のスマホで読み取って注文をするセルフオーダーシステムも少しずつ広がりを見せています。
セルフオーダーは注文に関わる人件費の削減や、オーダーミスを減らす、感染防止などに繋がります。また、注文に関わるデータ収集もできるため、将来的に売上予測や仕入れの参考にすることができます。
セルフオーダーシステムについても、「QR Order」や「Okage Go」など多くの企業がサービスとして提供しています。料金プランや機能も様々あるため、それぞれのサービスについて比較して、合ったものを導入する必要があります。
画像認識を活用したAIレジ
画像認識を活用したAIレジは、主にパン屋やケーキ屋で導入されています。これらのお店は商品にバーコードをつけることができないため、スタッフは商品名や価格を記憶する必要がありました。しかし、画像認識を導入することでその必要がなくなり、新人スタッフでもレジ打ち業務を行うことができるようになりました。
もちろん画像認識の精度を100%にすることは難しいため最終的には人の目で確認する必要がありますが、業務が効率化されることは間違いないですね。
AIによる自動発注・在庫管理
食材や飲み物の発注、ならびに在庫管理も飲食店では避けられない業務のひとつです。食材が足りずにお客様に料理を提供する機会を失ってしまったり、逆に食材発注し過ぎてしまって食品ロスに繋がったりすることがあります。売り上げを安定させるためには、必要なものを必要な分だけ手元においておくことが重要です。
この業務も今までは長年の経験に頼っている部分が大きかったですが、AIを活用することで現場に慣れていないスタッフでもデータから経験や勘以上の精度で発注や在庫管理をすることができます。
自動発注や在庫管理には「CO-NECT」や「Aladdin EC」といったサービスを活用することができます。
まとめ
今回の記事では、飲食業界の課題とAIの活用事例について紹介しました。
感染拡大の影響を大きく受けている飲食業界では、今まで以上に売り上げや在庫、来店客数など様々なデータを収集、管理、分析して無駄のない経営を行うことが重要になります。セルフオーダーシステムや来客予想、自動発注など、各業務によって専用のサービスが提供されていますが、全てを導入することは作業が煩雑になってしまったり、コストがかかったりと難しいと思います。そのため、それぞれの店舗の形態に合ったサービスを厳選して導入しなければなりません。
▼AI導入のステップについてはこちらの記事を参考にしてください。
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