IT企業から不動産、小売店など、どのような形態の企業でも避けては通れない営業活動。
営業活動は人にしかできない業務も多く、AIなどのテクノロジーの導入方法がイメージできないという人も多いと思います。
今回はそんな方たちのために、営業部門の3つの課題と4つのAI活用事例を紹介します。
もくじ
営業部門の3つの課題
業務が属人化しやすい
営業部門でよくある課題のひとつに、特定の人しかわからない業務がある状態になりやすく、属人化が進みやすいという点があります。
営業の人数が少なかったり顧客をたくさん抱えたりして日々の営業活動に追われていると、社内への情報共有に十分な時間を割けないこともよくあります。しかし、社内に情報共有がされていないと担当者が不在の場合の顧客対応ができなかったり、担当者が退職した際などにはスムーズな引き継ぎが難しくなってしまいます。
属人化を防ぐためには、社内に点在する営業活動に必要な情報を集めてマニュアルを作成し、誰でも流れを理解できる仕組みを構築する必要があります。また、マニュアルがあってもうまく活用できていないという事態を防ぐためにも、使いやすいマニュアル作成を心がける必要があります。
人材育成が進まない
営業部門の2つ目の課題として、なかなか人材育成が進まず、人によって知識量や営業力に差があるという点が挙げられます。
人材育成は非常に時間と手間がかかるため、余裕がないとなかなか時間を費やすことができません。しかし、人材育成の体制を整えておかないと、新人が入ってきたり人の入れ替わりがあった際に常に多くの時間を取られることになります。また、主力の人材が流出した際には売上にも大きな影響を与える可能性があります。
人材育成を進めるためには、スキルが社内にあれば活用できるように仕組みを整えたり、スキルがない場合や時間を取れない場合は外部の研修などを活用していく必要があります。また、実際のところ営業中のトークの流れや内容は本人にしかわからないことが多いため、録音するなどして後で振り返る時間を取ることも効果的です。
組織的な営業活動が行えていない
営業部門の課題3つ目は、商談から納品まで担当者1人で行なっており組織全体での営業活動が行えていないという点があります。この傾向は特に中小企業で顕著に見られます。
組織での営業活動の体制が整っていないと1人にかかる負担が大きく、顧客との連絡が疎かになったり、担当として回すことができる案件が少なくなったりと、非効率な動きになってしまいます。1つの案件に対して組織全体で関わることで知識や改善点などの共有ができて、以降の営業活動にも良い影響を与えられます。
組織的な営業活動を行うためには、外回りの営業活動と社内で行う営業活動を分けてそれぞれに担当を設けたりと、役割分担を行うことが必要です。
営業部門でのAI活用事例4選
株式会社ヒノキヤグループ(不動産事業)
注文住宅を中心とした不動産事業を手掛ける株式会社ヒノキヤグループは、「Watson」を活用したAIチャットボット「EXA AI SmartQA」を導入し、営業担当者からの質問に自動回答する「ひのくまコンシェルジュ」を導入しています。
これは、各営業担当者がひのくまコンシェルジュに対して応酬話法や商材に関する質問を投げかけると自動で回答が得られるものです。社内の知識や情報をまとめ、いつでも簡単に引き出せるようにすることで営業力のベースアップに役立ちます。
また、既に社内に導入済みであった「LINE WORKS」と連携することでひのくまコンシェルジュの活用を促進しているとのことです。
協和発酵キリン株式会社(製薬会社)
製薬会社の協和発酵キリン株式会社では、「営業日報・業務報告書自動作成システムVCRM」を導入し、営業担当者の報告書作成の負担軽減を図っています。
従来のMR営業活動では、病院や調剤薬局への訪問内容の報告書は訪問後にそれぞれの担当者が手入力作成していました。しかし、システムを導入したことで、訪問内容をスマートフォン専用のアプリに『話す』ことでリアルタイムで所定のフォーマットに自動入力することができます。これにより、業務請負の効率化と報告内容の質と量の向上を見込めます。
株式会社Yappli(IT企業)
アプリ開発・運用・分析をノーコード(プログラミング不要)で提供するアプリプラットフォーム「Yappli」を提供する株式会社Yappliは、電話営業や顧客対応を可視化する音声解析AI搭載型のクラウドIP電話「MiiTel」を導入し、通話記録と音声品質の向上により質の高いインサイドセールスを追求しています。
導入前までは全員が共通のトークスクリプトに従って電話での営業活動をしていましたが、通話記録がなかったため実際にどのようなトークをしているのかわからず、ファクトベースのアドバイスができていないという課題がありました。
そこでMiiTelを導入したことで、営業件数を正確に把握したり、通話記録から1件1件の通話内容を正確に知ることができるようになりました。アポイントを獲得できた通話記録をメンバーと共有したり、自身の振り返りとして通話記録を確認することでトークの質向上に繋がります。
Evand株式会社(人材派遣会社)
人材派遣事業を中心として行うEvand株式会社では、問い合わせフォーム営業自動化ツール「GeAIne(ジーン)」を導入し、新規顧客の開拓や業務効率化を図っています。
従来は新規顧客開拓には、人力でのリストを作成し電話で営業活動を行っていましたが、新たな手段としてGeAlneを活用したフォームマーケティングを加えました。これによりリーチできる企業の数も大幅に増え、今まで見落としていたような企業とも繋がることができるようになったとのことです。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
人と人とのやりとりが重要になってくる営業活動ですが、それをサポートするAIは様々存在します。人にしかできない業務とAIの方が得意な業務を分けて、うまく助け合えると良いですね。
今回の記事では社内のマニュアルとなるAIチャットボットや報告書作成のためのAI、AI搭載のクラウドIP電話、問い合わせフォーム自動化ツールの活用事例を紹介しました。
気になった方はそれぞれのツールの詳細も調べてみてくださいね。
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